「子どもが学校に行きたがらない。でも理由がわからない」
そんな悩みを抱えている方は少なくありません。理由を知りたい気持ちが募る一方で、子ども自身もうまく言葉にできないこともあります。
私も、中学生の息子が小2から不登校になり、6年間その姿を見守ってきました。
当初は「どうして行かないの?」と理由を探すばかりで、気持ちが空回りしていました。今回は、その経験をもとに、理由がわからないときにどう向き合えばいいのかを、最新の統計データも交えてお伝えします。
不登校とは?│定義と現状データ
文部科学省によると、“不登校児童生徒”とは、病気や経済的理由などの明らかな理由がなく、心理的・身体的・社会的背景があって年間30日以上欠席している児童生徒を指します。
最新のデータ(令和6年度)では、小中学校での不登校児童生徒数は約35万4千人で12年連続で増加、過去最多を記録しています。高校では不登校生徒数が約6万8千人です。
(出典:文部科学省「不登校の現状に関する認識」)
(出典:文部科学省、令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知))
不登校の「原因がわからないケース」が多い理由│データで見る傾向
文部科学省の調査で、不登校の主な要因の中で約半数が「無気力・不安」であるという結果が報告されています。年々この割合が増加してきているとのデータもありました。
原因を複数回答で聞いたところ、「先生との関係」「身体の不調」「生活リズムの乱れ」「友達のこと」などが挙げられ、小・中どちらも「これ」という単一の理由に偏らないことが明らかになっています。
(出典:文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要」)

(出典:文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要」を加工して作成)
「理由がない」のではなく「学校という場所」そのものが合わない場合も
学校に向かえなくなった時に、息子に理由を聞いたのですが、『わからない』としか言いませんでした。
でも、6年経って思うのは、理由がないのではなく「そもそも学校という形態が合わない」状態なのではないか?ということです。
大人数の中に入らなければいけない。決まった時間に動かなければいけない。分からない勉強もしなければいけない。
一つひとつは当たり前のことでも、これらの学校の要素が全て当てはまらない場合は、苦痛でしかないんだと思いました。
もちろん、すべての不登校が学校環境だけで説明できるわけではありません。
ただ、世間が子どもは「学校が当たり前」と決めつけているせいで、その形態に当てはまらない子どもは苦しんでいるんだと思い知らされました。
息子の場合は本人が自覚していないだけで、親から見ると苦痛なのが見て分かります。
▶学校と距離を置いている子供は海外にもいます。詳しくはこちらをご覧ください。
何度声をかけても変わらないと、親が疲れてしまう理由
不登校の中でも、特に多く聞かれるのが「朝、どうしても起きられない」という悩みです。
何度声をかけても反応がなく、親も「もう無理かもしれない」と心が折れることがあります。
実はこれ、心理学的に見ても自然な反応なんです。
心理学の実験では、「消去(extinction)」という現象が確認されています。
これは、以前は反応を引き出していた刺激が、報酬や結果につながらない状態で繰り返されると、反応が起こらなくなるという仕組みです。
たとえば、恐怖条件づけの実験で、条件刺激だけを何度も見せても恐怖反応が減っていく現象がこれにあたります(心理学用語では「消去」と呼ばれています)。
(参照:脳科学辞典、恐怖条件づけ )
例えば、人間でなくアリであっても、この「消去」は起こります。
アリを虫かごに入れて何度も脱出を阻止すると、最初は必死に逃げようとしていたアリも、やがて諦めるようになります。(実際に体験したことがあります。)
人間も同じで、何度声をかけても子どもに反応がないと、親もあきらめる気持ちが自然に生まれるのです。
なので、「不登校児を起こさないなんて甘やかしているな…」と思う方もいるかもしれませんが、不登校児を抱える親なら、恐らく皆この「消去」の果てに「起こさない」という選択をしているんだと考えてもらいたいです。
私がしてしまったことと気づき(体験+データで見る共通点)
私の場合、下に2歳の妹がいて、家事もほとんど私がこなし、短時間パートで毎日働いていました。
子どもの話をじっくり聞く余裕がなく、家にいてもタスクに追われて声をかけることが少なかったと思います。その結果、息子は孤独を感じていたのかもしれません。
さらに、毎日のスケジュールをきっちり詰め込みすぎました。
宿題、ご飯、お風呂、次の日の準備…。
当たり前の流れですが、息子にとっては負担が大きかったようです。
漢字一文字を書くのに時間がかかり、納得がいくまで何度も書き直して泣いてしまうこともありました。
完璧を求める気持ちが強く、小さな課題でも大きな壁になってしまっていたようです。
文部科学省のデータをみると、「無気力・やる気のなさ」「生活リズムの乱れ」などが、不登校の間の子どもの状況に当てはまることが分かりました。(データの対象は小学生です。)

(出典:文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要」を加工して作成)
理由がわからないときに親ができる4つのこと(体験+データからのアドバイス)
- 否定せずに受け止める
「どうして学校に行かないの?」と問い詰めるよりも、「そうなんだね」と共感する姿勢を。理由がはっきりしなくても、子どもが話しやすい環境を作ることが、大きな安心につながります。 - 安心できる時間をつくる
スケジュールを詰め込みすぎると「心の余裕」がなくなります。データでも「生活リズムの不調」が不登校の原因として上がっています。少しゆるめの時間を意図的に設けることが重要です。 - 小さな達成を認める
完璧じゃなくても、一歩進めたことを褒めることは、無気力になりがちな子どもにとって大きな力になります。 - 話を聞く姿勢を保つ
忙しくても「今日はどうだった?」「疲れてない?」などの声かけを。データでも「先生との関係」「友達のこと」がきっかけとなることが多いため、子どもの言葉や様子を見逃さないことが大切です。
これらは、教科書的な対策かもしれません。
しかし、実際に不登校に直面すると、理由が分からない以上、親ができることは限られてしまいます。
無理にこちらが動いても、余計自己否定をしてしまう可能性も否定できません。
静かに見守ることも大事だと実体験から感じています。
ただ、何もしないのが不安なときは、学校以外の場所で『本人が嫌がらない小さなこと』を一緒に探してあげると道が開けるかもしれません。
まとめ
データを見てもわかるように、「不登校の理由がわからない」という状況は、決して例外ではありません。
最新の文科省データでも、はっきりとした理由が見つからないまま不登校が続く児童生徒は多く、その理由も「無気力・不安」「生活リズム」「学校生活に対するやる気の低さ」など複数の要因が絡み合っていることが示されています。
私自身、6年間の体験から、理由がわからないときでも、子どもの気持ちを否定せず、安心できる居場所と時間をつくり、小さな達成を認めていくことが最も力になると感じています。
理由が見えなくても、親の関わり方次第で子どもは安心を取り戻せると信じています。
この経験とデータが、「理由がわからない」ことで苦しんでいる方にとって、少しでも道しるべになれば幸いです。
▶理由がわからない不安の正体は、親譲りの「特性」かもしれません。こちらの記事も参考にしてください。
▶こちらの記事で、不登校の原因をまとめて確認できます


