日本では、不登校の子どもが約35万人います。
「昔は不登校なんていなかった」という話を聞いて、本当なのだろうと思ったことはありませんか。
実際に調べてみると、学校へ通えない子どもは昔から存在しており、統計や制度、社会の変化によって見え方が変わってきたことが分かりました。
この記事では、不登校の歴史や統計をもとに、「昔はいなかった」と言われる理由を分かりやすく解説します。
(参照:令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知):文部科学省)
昔は本当に不登校はいなかった?

「昔は不登校なんていなかった」と言われることがあります。
しかし、実際には学校へ通えない子どもは昔から存在していました。
違うのは、不登校として統計が整備されていなかったことや、社会の受け止め方です。
不登校の統計と現実とは?
日本で「不登校」という概念が行政で整理され始めたのは1991年頃からです。
それ以前にも学校に行けない子はいましたが、統計として「見える化」されていないことや、家事手伝いで学校に行かない選択もあったようです。
- 1991年:約79,462人
- 2017年:約179,063人
- 2025年:約346,482人
増加の背景には、「不登校をカウントする仕組みが整った」という制度的な変化もあります。
当時は「学校へ行くのが当たり前」という考え方が強く、学校へ行けない子どもは「登校拒否」や「怠け」と見られることも少なくありませんでした。
そのため、現在のように不登校として支援や統計の対象になるケースは限られていたと考えられます。
(参照:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査4.小・中学校の長期欠席(不登校等) 4-2 4-2 不登校児童生徒数の推移 | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口)
(参照:文部科学省、「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」)
日本の教育制度と歴史が不登校に関係している?
そもそも、日本で「不登校」の概念はいつからできたのでしょうか?
日本での学校制度は、明治時代に作られました。
明治5年にアメリカ人教師スコットの影響を受け、効率よく教えるために、クラス全員に一斉に教える『学級教授法』が導入されました。
(参照:文部科学省、「三 小学校教育の内容と方法:文部科学省│スコットと教育方法の改革」)
さらに明治19年、初代文部大臣の森有礼(もりあきのり)によって、軍事教練的性格を持つ『兵式体操』が導入されました。
(参照:文部科学省、「森文相と諸学校令の公布│森文相の教育政策」、函館市/函館市地域史料アーカイブ│【「師範学校令」と北海道】」)
これらの制度は当時の社会的要請を背景にしていますが、現代では個性や学習ペースの違いを感じやすい教育環境につながる一因とも考えられます。
(参照:時事メディカル、「日本における不登校の歴史」)
▶こちらの記事では、さらに詳しく「不登校の歴史」を調査しています。
不登校の原因は一つではない
ここまで「昔はいなかったのか」という歴史や制度を見てきましたが、一人ひとりが不登校になる理由はまた別の話です。
不登校の原因として、「親のせい」「甘やかし」などがよく挙げられますが、実際はさまざまな要因が絡み合っていることが多いです。
例えば以下のような要因があります。
- 家庭:共働き増加、核家族化
- 学校:画一的な教育、少人数対応の難しさ
- 社会:いじめ、SNS、受験プレッシャー
- 心理:不安、抑うつ
- 歴史:明治〜高度経済成長期の制度の名残
私の息子のパターンは、「大勢の人のなかにはいるのが苦手」なことが主な要因だと私は思っています。
しかし、本人もはっきりとした理由がわからず、いまだに手探りで生活している状態です。
個人の事情が分からないまま家庭のせいにするのは難しいケースもあります。
▶不登校は親のせい?小学校前の育児で抱えた後悔と、転職して気づいたこと
不登校が増えたのはなぜ?
不登校が増えた背景には、一人ひとりの原因だけでなく、社会全体の変化も関係しています。
不登校の子どもが増えた背景には、一つの理由だけでは説明できない、さまざまな要因があります。
例えば、
- 不登校として把握・集計する制度が整ったこと
- 共働きや核家族化など家庭環境の変化
- SNSやインターネットの普及による人間関係の変化
- 子どもの心の不調への理解が進み、無理に登校させない考え方が広まったこと
- フリースクールや通信制高校など、学校以外の学びの選択肢が増えたこと
こうした変化が重なり、以前は見えにくかった子どもたちが統計に表れるようになったことも、不登校の増加につながっていると考えられます。
そのため、「昔の子どもより弱くなったから不登校が増えた」と単純に考えることはできません。
まとめ
海不登校の歴史や統計を調べてみると、「昔はいなかった」のではなく、制度や社会の変化によって見え方が変わってきたことが分かりました。
- 不登校は昔から存在していた
- 統計や制度が整ったことで実態が見えやすくなった
- 家庭だけではなく、学校や社会など複数の要因が関係している
「昔はみんな学校へ行っていた」というイメージだけでは、不登校の実態は語れません。
歴史や背景を知ることで、「家庭だけの問題ではない」と少し視野を広げられるきっかけになれば幸いです。
▶不登校の原因については、こちらにまとめています。


