「子どもが学校に行きたがらない。でも理由がわからない」
そんな悩みを抱えている方は少なくありません。理由を知りたい気持ちが募る一方で、子ども自身もうまく言葉にできないこともあります。
私も、中学生の息子が小2から不登校になり、7年その姿を見守ってきました。
当初は「どうして行かないの?」と理由を探すばかりで、気持ちが空回りしていました。今回は、その経験をもとに、理由がわからないときにどう向き合えばいいのかを、最新の統計データも交えてお伝えします。
不登校とは?│定義と現状データ
文部科学省によると、“不登校児童生徒”とは、病気や経済的理由などの明らかな理由がなく、心理的・身体的・社会的背景があって年間30日以上欠席している児童生徒を指します。
最新のデータ(令和6年度)では、小中学校での不登校児童生徒数は約35万4千人で12年連続で増加、過去最多を記録しています。高校では不登校生徒数が約6万8千人です。
(出典:文部科学省「不登校の現状に関する認識」)
(出典:文部科学省、令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知))
不登校の原因がわからないのは珍しくありません
「子どもが学校に行かない理由がわからない……」
理由がわからないまま不登校が続くと、「うちだけなのでは」と不安になる親御さんも多いと思います。
しかし、文部科学省の調査では、不登校は一つの原因だけで説明できるケースは少なくありません。
不登校の背景には、「無気力・不安」「生活リズムの乱れ」「友人関係」「先生との関係」「身体の不調」など、さまざまな要因が重なっていることが分かっています。
(出典:文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要」)

(出典:文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要」を加工して作成)
つまり、「理由はこれです」と一つに答えられない子どもがいても、不思議ではありません。実際に上記のグラフでは、25.5%が「きっかけが何か自分でもよくわからない」と回答しています。
私自身、このデータを見たとき、「理由がわからないのは、うちだけじゃなかったんだ」と少し安心したのを覚えています。
「理由がない」のではなく「学校という場所」そのものが合わない場合も
学校に向かえなくなった時に、息子に理由を聞いたのですが、『わからない』としか言いませんでした。
でも、7年経って思うのは、理由がないのではなく「そもそも学校という形態が合わない」状態なのではないか?ということです。
大人数の中に入らなければいけない。決まった時間に動かなければいけない。わからない勉強もしなければいけない。
一つひとつは当たり前のことでも、これらの学校の要素が全て当てはまらない場合は、苦痛でしかないんだと思いました。
もちろん、すべての不登校が学校環境だけで説明できるわけではありません。
ただ、世間が子どもは「学校が当たり前」と決めつけているせいで、その形態に当てはまらない子どもは苦しんでいるんだと思い知らされました。
息子の場合は本人が自覚していないだけで、親から見ると苦痛なのが見て分かります。
▶学校と距離を置いている子供は海外にもいます。詳しくはこちらをご覧ください。
理由がわからなかった7年間で私が気づいたこと
学校へ行けなくなった当初、私は「理由を知れば解決の糸口が見つかるかもしれない」と思い、息子に何度も理由を聞きました。
「いじめ?」「先生との関係?」「友達?」「勉強?」と考えられることは一通り聞きましたが、返ってくる答えはいつも「わからない」の一言でした。
「本当は言いたくないだけなのでは」「親に気を遣っているのでは」とも考え、病院でWISCなどの検査を受けたり、学校やスクールカウンセラーにも相談したりしました。
しかし、当時ははっきりした原因は見つからず、親として何を信じてどう動けばいいのか分からない状態でした。
それから7年が経ち、中学生になった今では、息子は少しずつ自分の気持ちを話してくれるようになりました。「勉強する意味がわからない」「人が多い場所が苦手」といった言葉を聞くようになり、当時は理由がなかったのではなく、自分でもうまく言葉にできなかったのではないかと思うようになりました。
もちろん、これがすべての不登校の子どもに当てはまるわけではありません。
しかし、理由を急いで聞き出そうとするよりも、「何を話しても大丈夫」と思える安心できる関係を築くことが、子どもが少しずつ本音を話せるようになるきっかけになることもあると、私は7年間の経験を通して感じています。
理由がわからないときに親ができること
理由がわからないからといって、何もしなくていいわけではありません。
一方で、無理に答えを聞き出そうとしても、子ども自身が整理できていない場合は答えられません。
私が振り返って感じるのは、次の4つです。
| 親ができること | 具体的な関わり方 |
|---|---|
| 理由を問い詰めない | 「どうして?」を繰り返さず、話せるタイミングを待つ |
| 安心できる環境を作る | 否定せず、「話してくれてありがとう」という姿勢を持つ |
| 一人で抱え込まない | 学校やスクールカウンセラー、必要に応じて医療機関へ相談する |
| 焦らない | 理由が分かるまで何年もかかるケースもある |
これらは、教科書的な対策かもしれません。
しかし、実際に不登校に直面すると、理由がわからない以上、親ができることは限られてしまいます。
無理にこちらが動いても、余計自己否定をしてしまう可能性も否定できません。
静かに見守ることも大事だと実体験から感じています。
「何を話しても大丈夫」という関係を意識するようになってから、少しずつ子どもの本音が見えるようになりました。
よくある質問
子どもが「理由がわからない」と言うのは本当ですか?
本当にわからない場合もあります。不登校は複数の要因が重なることが多く、子ども自身も気持ちを整理できていないケースがあります。
病院へ行ったほうがいいですか?
体調面や発達特性が気になる場合は、一度相談するのも一つの方法です。ただし、検査を受けてもすぐに原因が分かるとは限りません。
いつか理由を話してくれるようになりますか?
必ずとは言えませんが、成長とともに少しずつ言葉にできるようになる子もいます。わが家でも、小学生の頃は「わからない」だけでしたが、中学生になってから少しずつ気持ちを話すようになりました。
まとめ
データを見てもわかるように、「不登校の理由がわからない」という状況は、決して例外ではありません。
最新の文科省データでも、はっきりとした理由が見つからないまま不登校が続く児童生徒は多く、その理由も「無気力・不安」「生活リズム」「学校生活に対するやる気の低さ」など複数の要因が絡み合っていることが示されています。
私自身、7年の体験から、理由がわからないときでも、子どもの気持ちを否定せず、安心できる居場所と時間をつくり、小さな達成を認めていくことが最も力になると感じています。
理由が見えなくても、親の関わり方次第で子どもは安心を取り戻せると信じています。
この経験とデータが、「理由がわからない」ことで苦しんでいる方にとって、少しでも道しるべになれば幸いです。
▶理由がわからない不安の正体は、親譲りの「特性」かもしれません。こちらの記事も参考にしてください。
▶こちらの記事で、不登校の原因をまとめて確認できます


